一日三回もできるスピリチュアルな感謝の儀式「いただきます」

家の食卓で、レストランで、お弁当を広げて、シチュエーションは様々ですが、お食事の前に「いただきます」と言う人は多いのではないでしょうか。

「いただきます」は、実はとってもスピリチュアルな感謝の儀式でもあるのです。

「いただきます」に込められたスピリチュアルな意味

「いただきます」は、もともとは、神仏にお供えした食べ物を食べるとき、頭の上（頂・いただき）に持ち上げ、敬い感謝してから食べている様子が由来で、食前のあいさつになりました。

「いただきます」に込められた２つの感謝

一つは、食事を作ってくれた人への感謝、もう一つは、食材となって命を差し出してくれた、野菜、魚、動物たちへの感謝です。

以前、「学校で子供に“いただきます”を言うのを強制しないでほしい。だって給食費を払っているのだから」と苦情を言う保護者のことが話題になりました。私はこれを聞いたとき、代金を払っているのだからサービスを受け取るのは当然、と割り切ってしまうのはどうか、と思いました。

野菜を育て出荷してくれた農家さん・定食を用意してくれた関係者への感謝

例えば、今日のお昼ごはんに、近所の定食屋さんで野菜炒めを食べたとします。その野菜炒めの野菜たちは、農家の方が朝晩手をかけて栽培したものです。土を耕し、肥料を混ぜ、種をまき、病気にならないか虫がつかないか目をこらし、雨が続けば根腐れを心配し、晴天が続けば水やりに心を砕き、何週間もかけてやっと出荷されたに違いありません。

定食屋さんは朝早くに起き、仕入れに行き、洗って、切って、炒めて、盛り付けしたのです。

さらには、配膳をしてくれるお店の方はもちろん、炒め鍋を作る業者さん、食器を納入してくれた卸の方、ガスを供給してくれるガス会社の方、何十人もの人の奇跡のような連係プレイの結果、今目の前に野菜炒め定食があるのです。

どこが欠けても、何が欠けても、今日の食事はできなかった。そう思えたら、この一皿に係ってくれたすべての人、物、食材、自然に感謝の念がわいてきませんか。

命を差し出してくれた野菜への感謝

野菜たちだって、本当は花を咲かせ種を作り、人生（野菜生？）を全うしたかったでしょうに、人間の都合で中断させているのです。それなのに野菜たちは、人間に反逆することもありません。

ランチに食べる野菜たちが命を投げ出してくれたおかげで、私たちの身体に栄養がいきわたり、身体が整い午後のお仕事が充実したものになるのです。

「いただきます」は感謝の祈り

祈るとは、意（い）を宣（の）る　すなわち思いを声に出して宣言することです。

声に出して「いただきます」と言うのは、「私はこの食事に係ってくれたすべてへ愛と感謝をささげます」という祈りの儀式なのです。

セットで言いたい「ごちそうさま」

食事をし終えたあとに言う「ごちそうさま」。これを漢字で書くと「御馳走様」です。

「馳」は馬を早く走らせること。馬を走らせ、走り回って食材を手に入れおもてなしの準備をしてくれたことに、感謝の「御」と「様」を付け、食事が終わった時のあいさつとなりました。

今でこそ、流通が発達して食材を手に入れるのは容易になったとはいえ、料理を作る人は、メニューに思いをめぐらし、レシピを調べ、手順を考え、食器を合わせ、見た目の美しさも工夫して一品を作り上げます。

そこにあるのは、食事をする人においしく食べてもらいたい、という思いやりです。料理してくれた人の思いやりには、感謝の「ごちそうさま」で返したいですね。

さいごに

「いただきます」の深い意味を知り、今日の食事から感謝と愛を世界に発信するスピリチュアルな儀式だと思いながら「いただきます」と言ってみませんか。